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「らっこたんタイピングシール 誕生の背景」  徳島県上板町立高志小学校 中川斉史先生  ~1人1台端末時代のICT活用インタビューVol.03~

    
『らっこたんタイピングシール』を監修していただいた上板町立高志小学校 中川斉史先生にシール誕生の背景などについてお話していただきました。

 

タイピングスキルの向上には、正しいホームポジションが大切です。
教育ネットでは子ども達がホームポジションを意識しやすいよう工夫をした
キーボード用『らっこたんタイピングシール』を作成しました。
今回はシールを監修していただいた上板町立高志小学校 中川斉史先生にシール誕生の背景などについてお話していただきました。

 

 

・低学年からタイピングの練習をする必要性

低学年でも自分の考えや意見を何らかの形で、GIGA端末に書く機会が増えてきました。低学年の子ども達は、文字入力がまだできないため、ペンで直接文字を書いたり、文字認識のパレットなどを使ったりしていると思います。多くの学校では、これまで国語科でのローマ字の学習に合わせて、3年生でキーボードを使った文字入力指導を始めるカリキュラムにしている場合が多いと思いますが、1人1台のGIGA端末が整備されたことにより、それらが変わる可能性があります。つまり、1人1台端末によって、自力で練習できる環境が整っているということになります。 タイピングは「練習」の要素を多く含むため、個人差が大きくなりがちです。ですが、取り組める子からどんどんチャレンジできる仕組みがあると、タイピングスキルが向上し、結果として、自分の思いをキーボードを使って表現できるようになると思います。

 

・母音と子音の関係の理解と、正しいホームポジションがタイピングスキル向上のカギ

教職について30年以上となりますが、これまで多くの子ども達にローマ字による文字入力の初期指導を行ってきました。そのときに大事にしていたことは、母音と子音の関係をしっかりと理解させることと、使う指を意識させたホームポジションでした。それらがしっかり理解できることは、ローマ字の仕組みを理解することであり、全ての指を使って文字入力をスムーズに行うことができる事につながります。
母音については、一斉指導で一時間かけて行いますが、そのあとは子音との組み合わせであるということを教えます。あとは、個人差があるため、自力で学習する方法が必要です。どの指がどの子音のキーを押さえるかということを「自分で」確かめながら操作するためには、子音を示したシールが必要だと思うようになり、このシールのアイディアを思いつきました。

『らっこたんシール』

 

・自力で練習し、みるみるうちに文字入力ができるようになっていました

このシールのアイディアは、いくつかのバージョンがあり、2015年頃から試行錯誤し、今の形に至りました。シールを貼った特にローマ字入力をやり始めた学年の様子を見ていると、最初に数時間の指導をしましたが、その後は自力で練習し、みるみるうちに文字入力ができるようになっていました。そして、文字入力の練習と並行して、普段の学習で文字入力をする機会をたくさん用意することが、実はとても大切だと考えます。タイピングの練習ばかりしていても、「思考が文字になる」というレベルには至らないからです。
ですので、練習するためのシールという手だてと、自分で目標を決めて取り組める仕組み、そして、それらを活かして文字を入力する機会をたくさん増やすことで、子ども達のタイピングが実用レベルでスムーズになっていくことを期待しています。さらに、タイピングスキル向上が子供達の情報活用能力向上につながっていけたらいいと思っています。


ホームポジションを意識して『らっこたん』でタイピング練習